まずは、着物である。
中学校・高校の入学式では、偏差値が高くなればなるほど、母親の着物着用率が高くなる。
着物はそれなりに値段が高い。富裕層になればなるほど、高価な着物を購入する余裕がある。しかしながら、着物で出席できる場はあまりない。箪笥の肥やしにしてばかりでは、ちょっともったいない。羽織る機会があれば、なるべく羽織りたくなるというものだ。
そうした数少ない場が、子どもの入学式だ。
着物姿の母親が10%を超えると、その学校は格式/偏差値が高いといえるようである。
もうひとつ。
格式/偏差値が高くなると、両親の出席率が高くなる。つまり、保護者と生徒が揃った写真だと、保護者が生徒数の2倍くらいになる。2倍近くとなると、格式/偏差値が高いといえるようだ。
ちなみに、東京大学の入学式ともなると、入学者数の4倍の保護者ならびに関係者が出席するときもあるそうだ。祖父母も出席するし、「これを逃したら東大の入学式に出席する機会はない」と叔母までもが出席する家庭もあるそうだ。
これまでに指導した生徒のうちで、入学式の出席者が最多であったのは、7人というもの。生徒の両親と、母親の妹夫婦で歯科医院を運営しており、その歯科医院は母方の祖父が経営していたものだが、2人の娘夫婦が歯科医師や歯科技工士の資格で運営していた。妹夫婦には子どもがなく、跡継ぎはその生徒だけ。歯学部に合格して、一族全員が大喜びで、両親・妹夫婦・母方の祖母・父方の祖父母が入学式に出席した。
私が大学に入学したときには、祖父母どころか、両親も入学式には出席しなかったなあ。というか、私自身、辞書や教科書を購入する費用を捻出するため、入学式のときにはアルバイトをしていた。入学式のことを、民俗学などでいうところの「ハレ」とはだれも把えていないようだ。
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